MISTEL

完結編


−完結編−




聖なる塔での悲劇より半年。

シメオンはその消息を絶ち、


ライオネル]U世率いるセンターの、

圧倒的な情報力をもってしても、その

足どりは全くつかめなかった。



しかし、ついに――――



 
(センター)
ライオネル]U世
「………もうすぐアロン先生が戻って
 こられる」
「どうも、何かをつかんだらしい」

エノク
「何かって…
 シメオンの居場所ですか!?」

ライオネル]U世
「それはわからないな……なにしろ、
 総力を上げてもわからなかったんだ」
「そう簡単にいくものかどうか……」

賢者アロン
「センターの情報が一番とは
 限りませんよ」

『!』

「むしろ、闇の世界にこそ、
 情報はあるものなのです」

ローズ
「あなたは……!!」

ラシード
「…久しぶりだな」

賢者アロン
「彼の名はラシード。陛下、あなたなら
 ご存じなのでは?」

ライオネル]U世
「ええ…死神のラシード……闇の世界
 では、そう呼ばれ恐れられている…」

ローズ
「そして…私の師匠でもある暗殺者」

賢者アロン
「彼の情報網なら、わからないことは
 ありません」
「捜すのに随分と手間どりましたがね
 ………」

ライオネル]U世
「ラシード…あなたが協力してくれる
 なら…………」

ラシード
「いや、王よ。俺が協力するのは
 情報の提供までだ」
「これはこの国の問題だ。
 俺が出しゃばることではないし……
 それに…」
「俺に仕事を頼んだら、この国は
 破産するぜ。ふふふ……」

ライオネル]U世
「そうか…だが、情報だけでも充分だ。
 礼を言う」

賢者アロン
「その情報によると、シメオンは
 魔獣の谷という場所にいるそうです」

王子ミカル
「魔獣の谷?」

ラシード
「南大陸の奥地だ。かつては、獣人達が
 住んでいたらしい」

ローズ
「バルナバ…それに、ジークフリードも
 ………」

ライオネル]U世
「南の部族が滅んだ今となっては、
 誰も使っていないのか……」
「しかし…奴はそこで
 何をしているんだ?」

賢者アロン
「さあ…そこまでは…」

ビビ
「とにかく行こうよ〜」

ライオネル]U世
「慌てるな、ビビ。同じ誤ちを
 繰り返すつもりか?」

ビビ
「……………」

エノク
「でも!早く行かないと、奴は何を
 するかわからないですよ!」

賢者アロン
「そうですね……これ以上は待つ必要も
 ないでしょう」
「そのために半年も待っていたんです
 から」

ライオネル]U世
「…わかりました。確かにそうですね」
「では、今から作戦を実行する!」

ビビ
「うん!」

エノク
「そうこなくちゃ!」

ローズ
「いよいよね…血が騒ぐわ………」

ライオネル]U世
「まず、ビビ、エノク、ナイトハルト、
 アロン先生の4人は遊撃隊だ」
「敵のふところに突入して、混乱させて
 くれ。その後、私とローズ、それに
 ミカルが突入する」
「兵士と一緒に敵を叩くから、
 その間にビビ達はシメオンを見つけて
 倒すんだ」

賢者アロン
「魔獣の谷の前は砦があります。まず、
 それを陥としましょう」
「それも私達がひき受けます」

ライオネル]U世
「そうですか…わかりました。では、
 作戦を実行する!」


(海を渡って魔獣の砦へ)

このへやには宝箱が3つ置いてある。
しかし、たくさんの宝箱を取ると、
ダンジョンの難易度が上がるぞ!

ちなみに、宝箱の中身超レアな
貴重品だぞ!


魔法テラウイングを手に入れた!


魔法カオスを手に入れた!


魔法ヘルジャッジを手に入れた!


(ビビのハリケーン無双で奥へ。炎の剣士、ガルレア、シメオングール、スピットレイ等)
この階段は一方通行だ。上に行ったら、
もう戻ってはこられない。
行くか?
→はい いいえ


ここから先は魔法が封印されるぞ!


(看板を調べる)
「ここから先は、仲間が1人ずつ減っていく。
 勝てそうにないときは、
 逃げた方がいいかも…」

(魔法封じられた上、アロン先生即行迷子)

(次のフロアでただでさえ空気な白木氏が消滅)


(パーティー復活。魔法陣の部屋)
ビビ
「シメオン!?」

エノク
「砦の方にいたのか……」

シメオン
「そろそろ、あなた方がくるんじゃ
 ないかと思いましてね…」
「こうして出迎えにきたんですよ(盾マーク」

エノク
「ふざけやがって…!」

ビビ
「フォースの体をどうしたの!?」

シメオン
「ああ…彼ですか。安心して下さい。
 彼は生きてますよ」

エノク
「なんだって!?」

シメオン
「ホラ…」

ビビ
「フォース!!」

エノク
「フォースは死んでなかったのか…?」

シメオン
「そう、最初はそのつもりでした。
 彼を殺し、そして復活させる…」
「だが、少し事情が変わりましてね…
 もう彼の肉体は必要なくなったん
 ですよ」
「彼は今眠っている。
 そのうち、彼には別の研究に
 役立ってもらうつもりです」

ビビ
「殺して復活……何言ってるの…?」

シメオン
「私が何の研究をしていたのか、
 まだ言ってなかったですね」
「私はアンデッド、つまり、死者を
 蘇生させる研究をしていたんです」

ビビ・エノク・ナイトハルト・アロン
「!!!???」

シメオン
「その研究は非常に困難を極め……
 半ばあきらめかけていたとき…」
「…いや、よしましょう。
 こんな話より他に用事が
 あるんでしょう?あなた方は」

エノク
「お前を倒す!そのためにきたんだ!」

シメオン
「ほう…今度は賢者アロンも一緒ですか
 ………なるほど。楽しめそうですね」
「いいでしょう。私に勝てば、
 彼は返してあげましょう。どうせ、
 もう用はなくなったことですしね」

ビビ
「シメオン…絶対に許さない……!」

(シメオン戦。1000G 使い捨てカイロ)

ナイトハルトが爆滅斬を覚えた!

シメオン
「バカ…な…!?」

ビビ
「勝った…」

エノク
「やったぜ!」

シメオン
「私が…私が負けるはずがない………
 負けるはずがないのに………」
「どうして……あああ………
 どうしてえええぇぇぇぇぇ……」

ライオネル]U世
「……………昔、死について
 研究していた学者がいました」

シメオン
「!?」

ライオネル]U世
「しかし、その学者の研究はいっこうに
 進みませんでした」

ビビ
「なんの話…?」

ライオネル]U世
「昔話だよ……」

シメオン
「…………」

王子ミカル
「…その学者は思いました」
「研究には、モルモットが必要だ…と」

シメオン
「……………」

ローズ
「…しかし、死体はそう安々と手に入る
 ものではありません」
「そこで学者は考えました………」
「手に入らないなら、自分で死体を
 用意しよう、と!」

ライオネル]U世
「その学者とは、お前のことが、
 シメオン」

シメオン
「………………」

ライオネル]U世
「お前のことは、全て調べさせて
 もらった」
「シャーディーから突然、姿を消した
 へんくつ学者、確かシメオンとか
 いったな」
「さらに、マリンシティに移り住み、
 そこからも追放されている」
「それがお前だな?」
「お前はアンデッドについて研究する
 ため、してはならないことを
 したんだ」

シメオン
「ふ、ふふふ……………」
「ふふふふははははははははは!!!」
「その通りだよ!ライオネル殿!!
 だがな!私がこれで終わりと思うな!
 私は無敵なのだからな!」

ビビ
「シメオン…!!」

シメオン
「私は最高の力を手に入れた!そして、
 研究は完成したのだ!!」

ビビ
「クライムも…あなたが……」

シメオン
「そうとも!できそこないのアンデッド
 だったがな!!」

エノク
「東エリアの廃墟の幽霊も、お前の
 しわざか……!」

シメオン
「あいつは、昔、あそこに住んでいた
 金持ちだよ」
「どこかの女暗殺者に殺されたらしい
 がな!」

ローズ
「………………」

ライオネル
「…もういい。
 もう終わりだ。シメオン」

シメオン
「終わりではない!」
「お前らも道づれさ!!!」

ビビ
「これは…デッドフレイム……!!」

ライオネル]U世
「バーバラ殿が使った技か…。
 お前はこんな魔法まで…」

シメオン
「死ねえ!!」

フォース
「おっと、そうはいかないな!」

シメオン
「がっ…!?」

フォース
「油断したね。僕がいつまでも寝てると
 思ったかい?」

ビビ
「フォース!!」

シメオン
「き…き…き、さ、ま………!」

フォース
「殺すんなら、もっと確実に殺すん
 だったな!」

シメオン
「ぎゃああああああ!!」

フォース
「ふう…」

ビビ
「フォース!」

エノク
「生きてたのかよ!コノヤロー!」

フォース
「やっぱり僕は…みんなのヒーロー
 だろ?」

ローズ 「そういえば…思い出したよ…」
「5年前に足を洗った、
 天才少年暗殺者………
 確か名前は………」

フォース
「王妃様、その話はいいでしょ。
 今の僕は吟遊詩人のフォース」
「それでいいじゃないですか♪」

ローズ
「ふ…そうだね」

エノク

「ともかく、これで全部終わったんだな
 ………」

ビビ
「やっと帰れるんだね〜」

ライオネル]U世
「………本当にそう思うか?」

ビビ
「?」

ローズ
「どういうこと?」

ライオネル]U世
「おかしいと思わなかったのか?」
「シメオンは本当にただの学者だった。
 魔法も全く使えないような、な」
「それなのに、奴はどうしてあれだけの
 力を持っていたんだ?」

エノク
「そういえば…」

ライオネル]U世
「アンデッドの研究なんて、個人の研究
 で完成するようなものじゃない」
「………ローズ、10年前の事件を
 覚えているか?」

ローズ
「10年前…ジークフリードの乱の
 こと?」

ライオネル]U世
「そうだ。我々は、あの事件は、あれで
 終わったと思っていた」
「だが、そうではなかったとしたら?」

エノク
「何が言いたいんですか?王様」

ライオネル]U世
「これは、あくまで想像にすぎない」
「しかし、シメオンにあれだけの力を
 与えたのが、ビーストオーブの力
 だったとしたら?」

ローズ・ミカル・アロン
「!!!???」

ローズ
「あいつが、ビーストオーブを
 持ってたっていうの!?」

賢者アロン
「確かに…つじつまは合いますが……」

ローズ
「でも…ビーストオーブは意志の強い、
 選ばれた者しか使えないはずよ」
「それは、ナシェルとジークフリード
 だけ………でも、2人ともすでに
 死んでいる……」
「シメオンがビーストオーブを使えた
 なんて………」

ライオネル]U世
「…いや、シメオンはビーストオーブを
 使いこなせてはいなかった」
「シメオンが手に入れたのは、圧倒的な
 力だけだ。シメオンの目的は、力では
 なく、研究の完成だったはず」

ローズ
「…ということは?」

ライオネル]U世
「…他にもいたんだ。ビーストオーブを
 使える者が」
「ビーストオーブに選ばれた、3人目の
 人間が」
「そしてそいつが、シメオンを陰から
 操っていた。そいつが…
 真の黒幕だ」

ビビ
「いったい誰なの〜?」

ライオネル]U世
「それは…魔獣の谷に行けばわかるさ」
「すべての謎を解くカギはそこにある」
「なぜ、アンデッドなのか…
 なぜ、グレン殿が敵の言いなりに
 なっているのか…」

ローズ
「最後の戦いってわけね…」


(マップに出て入江の村ロランへ)
・とても不自然なドア
「ボクは、どこでもドアです!
 ロランへジャンプできるよ!
 跳ぶ?」
→はい いいえ


(魔法屋)
フォースがテラウイングを覚えた!

エノクがヘルジャッジを覚えた!

ビビがカオスを覚えた!


(宿屋のコック)
「私は炎の料理人。
 伝説の料理にトライしたいのだが、
 あいにく食材が集まらない」
「もし全ての食材を取ってきてくれたら
 君達にその料理をごちそうしよう」
「食材は6つ。
 魚、肉、卵、ミルク、チーズ、
 そして、キャビアだ」


(魔獣の谷へ)
ビビ
「なに…?この樹………」

エノク
「かなり大きいな。この谷に
 こんな大きな樹があったのか?」


(樹をのぼった先)
ビビ
「父さん…」

グレン
「ビビ…か。やはりきたのか……」

ビビ
「王様からきいたはいたけど……
 どうして!?どうしてなの!?」

グレン
「……………ビビ。お前は、愛する者を
 失ったとき、どう思う」
「…いや、お前には早すぎる質問だった
 かもしれんな。しかし、これだけは
 わかってくれ」
「父さんは、こうするしかなかった。
 そして、これで正しかったと
 信じている」
「バーバラが…帰ってくるという
 ならばな……」

ビビ
「母さんが!?」

「バーバラは、母であると同時に1人
 の女性だ。私はバーバラを愛している。
 彼女のためなら、なんでもしよう」
「…そう決めたんだ」

フォース
「…あなたがグレンさんだったのか」

グレン
「残念だよ。君とこんな形で会うことに
 なるとはね……」
「だが…私は負けない。
 バーバラのために」

ビビ
「母さんは、もう帰ってこないよ!!」

グレン
「帰ってくるんだよ…ビビ…ある人の
 力を借りればな………」

エノク
「そいつは誰だよ!?」

グレン
「………話はここまでだ。いくぞ、
 ビビ。本気でこい!!」

(グレン戦。1ターンに2回攻撃。ブレイズ、サンダー、アイススプリッド。
 よりによってビビがとどめ。0G グランドクロス)

ナイトハルトがナイトメアを覚えた!

グレン
「グッ………!!」

ビビ
「父さ〜ん!!」

グレン
「フ…フフ…これで……よかったのかも
 しれんな……」
「やはり…死者を蘇らせるというのは…
 許されることでは…ないのかも……」

フォース
「あんたは…バカだ………こんな…
 こんなこと誰も望まないのに…」

ビビ
「父さん……母さんと……仲良くね…」

(紋章の上へ)
ここから先に行くと、
セーブはできますが、もう帰ることは
できなくなります。

行きますか?
→はい いいえ




その頃、ライオネル達は別の入口から

侵入していた。



ローズ
「この部屋はなんなのかしら…」

(時計塔の針の上で)
ローズ
「あんたは…!」

クライム
「……………」

ローズ
「そう…あんたも、アンデッドに
 されたってわけね………」
「いいわ。
 私がここで消し去ってあげる!
 きなさい!」

クライム
「グオオオオオォォォ!!!」
(クライムとタイマン。アンデッドもマヒる。天地鳴動無双。0G)



(アロンサイドへ。毒々しい床な部屋)
賢者アロン
「みんなとはぐれてしまったが……
 ここはどこかな?」

(石版を調べて)
賢者アロン
「これは…?」
『!』

ガーヴィン
「ぐおおおおおおおお!!」

賢者アロン
「ガーヴィン将軍…!?あたなも
 アンデッドにされたのですか!?」

ガーヴィン
「ぐっ…ぐあおおお……がああ……」

賢者アロン
「…アンデッドでいることは、いいこと
 ばかりじゃないようですね」
「いいでしょう!せめて私が、あなたを
 倒してあげます!!」
(ガーヴィン戦。接戦。0G)

ガーヴィン
「グアアアアアアア!」

賢者アロン
「……………」



(ライオネルサイド。教会)
ライオネル
「マックス…!」

マックス
「……………」

ライオネル
「そうか…お前もアンデッドに………」

マックス
「ガ…グ…」

ライオネル
「…これでは、とても生きているとは
 思えないな」
「すまん、マックス。私が見回りを
 命じたばっかりに……」

マックス
「…ラ…イオ………ネ…」
「コ…コ………ロ…シ…………」

ライオネル
「マックス………!?」
「そうか…わかった。お前は私の手で
 無に返そう。それがせめてもの
 罪ほろぼしだ………」

(マックス戦。一介の兵士と王の戦い。0G)
マックス
「……コ…レ…デ……」

ライオネル
「……………さらばだ。マックス……」



(ビビサイドへ。クリスタルな部屋)
ビビ
「ここは…」

(黒騎士登場)

エノク
「こいつは…」

ライオネル
「ジークフリード」

ローズ
「10年前、私達と戦った、
 獣人の勇者」

ビビ
「この人が……黒騎士………」

エノク
「ジークフリードなのか……」

ナイトハルト
「……………」

ライオネル
「まさか…ジークフリードまで
 アンデッドになっているとはな……」

ローズ
「この奥の誰かさんは、それだけの力を
 持ってるってことね…」

ジークフリード
「グオオオオオオオ………!」

エノク
「なんだ!?」

ライオネル
「くるぞ!」

(ジークフリード戦。2回攻撃。困ったことに弱い。0G 黒騎士の剣)
ジークフリード
「グオ…グガ………!」

ビビ
「うそ…倒れない!?」

ライオネル
「アンデッドは、それを操る者が
 死なない限り倒れない」

ローズ
「究極の生命体というわけね」

ライオネル
「だが、もうこいつに戦闘力は
 残っていない」
「このまま力を失わせて、
 先へ進もう」

ナイトハルト
「…やめろ」

ビビ
「ナイトハルト…?」

ナイトハルト
「これ以上…ジークフリード様を
 傷つけないでくれ……」

ビビ
「なに言ってるの!?
 ナイトハルト!!」

エノク
「そいつは敵だぜ!」

ライオネル
「……………?」

ローズ
「ナイトハルト…あなた、いったい
 誰?」

フォース
「もう黙ってるわけにはいかないね。
 僕も知りたいなあ、君の正体」

ナイトハルト
「……………」
「私は………」

ライオネル・ローズ
「ユディト!?」

ビビ
「………?」

ローズ
「そんな…ユディトはあのとき……
 バルナバに殺されたはずよ!?」

ライオネル
「ああ…それは私も見た………お前が
 ユディトであるはずがない」

フォース
「まさか!?」

エノク
「お前もアンデッド!?」

ユディト
「いや…私はアンデッドではない。
 私は生きている」

ライオネル
「蘇ったとでも言うつもりか?」

ユディト
「その通りだ」

ローズ
「そんな…いったいどうして……」

ユディト
「お前達は、ジークフリード様の死の
 瞬間を知っているだろう?」

ライオネル
「ああ…直接見たわけではないが……」

ローズ
「ナシェルに負けたと……」

ユディト
「そうだ。あのときすでに
 ジークフリード様は死んでいた」
「ただ、気力のみで、ナシェルの持つ
 ビーストオーブを求めたのだ」

ライオネル
「そうまでして…何を……」

ユディト
「まだわからないのか?」
「ジークフリード様は、その死の瞬間、
 私の復活を願われたのだ」

ローズ
「ジークフリードが……あなたの…?」

ユディト
「ジークフリード様が望めば、お前達の
 死でさえも簡単だっただろう」
「だが、ジークフリード様はそうは
 されなかった」
「ただ、私が生きること。
 それだけを望まれたのだ」

ライオネル
「……………」

ユディト
「だからこそ、私はここにいる。
 あの方の意志を継ぐために」
「ジークフリード様の願いだった、
 獣人の世界のために!」

ライオネル
「…再び争いを起こすつもりなのか?」

ユディト
「私はバルナバとは違う。
 そんな愚かなことはしない」
「お前達のおかげで、獣人は平和に
 暮らせている。それは感謝している」
「だが…この先、獣人と人間の戦いが
 起きるようならば、私はお前達と
 戦うだろう」
「そのために、私は戻ってきたのだ」

ライオネル
「……そうか」

ジークフリード
「……グ…ガ……!」

ユディト
「ジークフリード様!?」

ローズ
「まさか…!?力を取り戻したの?」

エノク
「だとしたらまずいぜ!!」

ユディト
「ジークフリード様……」

ジークフリード
「ユディト…」

ユディト
「ジークフリード様!」

ジークフリード
「生き…て……くれ……
 私の……分…も………」

ローズ
「アンデッドの呪縛を断ち切った!?」
「アンデッドは、術者がそう望まない
 限り何もできないはずなのに…」

ライオネル
「信じられん………だが、これが……」
「ビーストオーブに選ばれた…もう1人
 の勇者の力なのか………」

ジークフリード
「さら…ば…だ………」

ユディト
「ジークフリード様………
 ありがとうございます………」

ビビ
「ユディト……」

ユディト
「ナイトハルトでいいさ、ビビ」
「最後のハーフ・ビーストである
 お前を死なせるわけにはいかない。
 獣人の未来のためにもな」

ユディト
「だからこそ、私はナイトハルトとして
 戦ってきた」
「それはこれからも同じだ。
 …さあ、行こう。敵は目の前だ」
「これからは、お前の指示通り戦おう」

ビビ
「うん!!」

エノク
「そうだな!」

フォース
「早く終わらせて、デートしようよ〜」

ライオネル
「よし!行くぞ!!」


(先へ。出てくる敵はみんなアンデッド。
 関係ないけど、忠誠心や主従の信頼までBLだと言われる風潮が嫌だなぁ…。)

もう戻れませんが、行きますか?
→はい いいえ


(トンネルの先は、とてもメルヘンチックでした)
ビビ
「何…ここ?」

エノク
「なんか妙にほのぼのしてるな」

フォース
「どういう趣味なんだ?」

ビビ
「いったい誰なの…?
 この奥にいる人って……」

ナイトハルト
「………この感じ…いや、まさか……」


(枝にぶら下がるかぼちゃの部屋へ)
ティア
「ナシェルーーーごはんできたよー!」

ティア
「ホラ…食べて(はぁと」

ビビ
「ナシェル兄ちゃん!」
「ナシェ…!?」

フォース
「ビビ。…死んでる…」

ビビ
「……………!?」

ティア
「あら…お客さん?」

ビビ
「あなたは…」

ティア
「あ、私はティア。よろしくね」

エノク
「…誰だ?」

ビビ
「…ナシェル兄ちゃんが死んだとき、
 一緒にいた女の人だよ」
「でも…行方不明になったって……」

エノク
「その人が、どうしてここに……?」

ティア
「そう…ナシェルの妹さんなの」
「どう?この家。カワイイでしょ?
 ずっと、こんな家に憧れてたの。
 あたたかい家庭…おいしいご飯…」
「だから、造ったの。
 どう?
 うまくできてるかなぁ……?」

ライオネル
「それもビーストオーブの力でか?」

『!?』

ティア
「ライオネル…?」

ライオネル
「久しぶりだな…ティア。
 10年ぶりか?」

ティア
「そうね…あれから10年………
 早いものね…」

ローズ
「その10年…あなたは何をしていたの?」

ティア
「ローズ!?わー、会いたかったよー」
「見て!ここが私とナシェルの家なの!
 2人で暮らしてるのよ(はぁと」

ライオネル
「死体とか?」

ティア
「……………」

ライオネル
「ナシェルは死んだ。それは、お前が
 一番よくわかっているはずだ」

ティア
「ナシェルは…」

ライオネル
「ティア!目を覚ませ!」

ティア
「死んでなんかいない!!」


(大木の前)
ティア
「見て、この樹。
 この樹はミステル(宿り木)」
「私とナシェルの約束……。
 2人はここで永遠の愛を誓ったのよ」
「ね、ステキでしょう…?」

ライオネル
「それも…お前の妄想にすぎん」
「お前が、ビーストオーブで創り出した
 幻だ」

ティア
「……………アハハハハハハハ!!」
「何言ってるの!?
 ナシェルは蘇るわよ!!」 「あなた、私がなんのために
 シメオンに力を与えたのか、
 わかってないようね!!」

ライオネル
「なに!?」

ティア
「シメオンは、マヌケな研究者だった…
 でも、1つだけとりえがあったわ」
「奴は、死んだ人間を復活させる研究を
 していたのよ!」
「だから私は、あいつと手を組んだ。
 あいつに力を与える代償として、
 ナシェルの復活を約束させてね!」

ローズ
「ナシェルの…復活……!?」

ティア
「ハーフ・ビーストである
 ナシェルの復活のためには」
「人間と獣人、2つの体が必要だった。
 そして、力を具現化するための、
 ビーストオーブ」

エノク
「だからバルナバを殺したのか…」

ビビ
「フォースを殺そうとしたのも…!」

ティア
「そう、最初はバルナバとフォースを
 使おうと思っていた」
「でも、フォースよりも
 いい体が手に入ったから、彼は必要
 なくなったの」
「感謝してほしいぐらいよ……
 アハハハハハハハ!」

フォース
「なんだよ、それ!」

ティア
「見なさい!」

ビビ
「父さん!」

ティア
「この男はナシェルの血縁者。
 この肉体なら確実に成功する!」

ライオネル
「グレン殿……!」

ティア
「バーバラの復活をエサにしたら、
 すぐ、食いついてきたわよ」
「あなた達はそこで見ていなさい!
 ナシェルは、今、復活する!!」

ビビ
「やめて!」

エノク
「そうだぜ!ナシェルさんをアンデッド
 にするつもりかよ!」

ナイトハルト 「何を言ってもムダだ。
 すでに正気ではない」
「おそらく、ナシェルが死んだときに
 この女の理性は飛んだのだろう」

ライオネル
「バカな…ナシェルのために、世界全土
 を巻きこむとは………」

ティア
「それのどこが悪い!?」
「私にとって、ナシェル1人の命は
 お前達全員の命、いいえ、世界より
 価値があるのよ」

ティア
「さあ、ビーストオーブよ!」
「発動せよ!
 ナシェルに新たな命を!!」




ビビ
「ここは!?」

ライオネル
「ティアの創り出した空間だ!
 惑わされるな!」

ティア
「フフ………いよいよ…ナシェルが…」

ビビ
「ナシェル兄ちゃん!」

ティア
「ナシェル!私達の邪魔をする奴らを
 殺して!」

ナシェル
「………ああ」

ローズ
「ナシェル!?」

フォース
「ダメだ!こいつも正気じゃない!!」

ビビ
「ナシェル兄ちゃん!」

ナシェル
「…殺す」

(ナシェル戦。マヒる。よりによってまたビビが…)
ティア
「何!?」

エノク
「やったぜ!」

ライオネル
「よし、今のうちにナシェルを
 押さえるんだ!」

ティア
「こざかしい!!」(爆発)

ライオネル
「ぐっ…!?」

ローズ
「な…なんて魔力……!!」

ビビ
「王様!!」

ライオネル
「アンデッドとの戦いで消耗しすぎた…
 魔力が残っていない……」

エノク
「くそっ!」

ティア
「まだよ!ナシェル!
 獣人の姿に!!」

フォース
「な…なにっ!?」

ナイトハルト
「ハーフ・ビースト…か」

ティア
「ナシェル!あいつらを今度こそ殺す
 のよ!!」

(ナシェル獣人形態戦。またマヒです)
ティア
「そ…そんな…どうして……!?」

エノク
「俺達は負けないぜ!」

ビビ
「そんなの、ナシェル兄ちゃんじゃ
 ない!」
「ナシェル兄ちゃんじゃないよ!!」

ティア
「お…おのれ!!!」
「言わせておけば………
 好き放題言ってくれるわね!!」
「これは、ナシェルよ!!
 私のナシェルなの!!」

ナイトハルト
「違う……それは、ナシェルではない」
「それは、ナシェルの顔をした悪魔だ」

ティア
「そんなの…そんなのかまわない!」

「たとえ…天使だって悪魔だっていい!
 それが、ナシェルでさえあるならば」

ライオネル
「ビビ…もうこいつは止まらない」
「お前が止めてくれ……。
 あるべき姿へ…戻してやってくれ…」

ビビ
「うん!」

ティア
「私は…私はナシェルと
 幸せになるのよ!」
「邪魔するなあああぁぁぁ!!!」



ビーストオーブが、ティアとナシェルを

吸収し、1つにしていく!



(ナシェルとティア戦。グラフィックが大変なことに。3回攻撃
 パプテスマ、デッドフレイム、アースクエイク、バニシングハート、天雷)

ティア
「ナシェル………へへ、私…
 負けちゃったよ」
「ね…言ってくれたよね……2人なら
 どんなことも乗りこえられるって…」
「だから……私、がんばったんだよ……
 ナシェルともう一度…
 話しがしたくて……笑顔が見たくて…」
「まちがってたのかな…?
 私……」
「ねぇ…何か言ってよ………
 これじゃ…これじゃ私………
 バカみたいじゃない………」

「ナシェルと…一緒にいたいだけ……
 だった…の…に………」




「ねえ…ナ…シェ…ル………」






――――そして・・・・・・




(センター武器屋)
エノク
「なー、そんなこと言わずにさー、
 もーちょいまけてくれよー」

「ダメだってば!あんたもしつこいね」

エノク
「ちぇっ!たかだか30000ゴールド
 ぐらい…」

「まけるはずないでしょ!」

エノク
「あーあ、ビビにプレゼントしようと
 思ったんだけどなー」
「女の子に剣、プレゼントして
 どうすんの!?
 別のをあげなよ!」

エノク
「…そういうもんなのか?」

「そういうもんなの!!」

エノク
「ふ〜ん……」



(デザートシティ酒場)
フォース
「ラ〜ララ〜そして〜英雄フォースの
 おかげで〜平和が〜戻りました〜♪」


「イイぞ〜!!
 もう一曲〜!!!」

フォース
「カンベンしてよ〜もう朝から
 10曲だよ〜」
「あーーー!!
 ビビの顔が見たい〜!!」



(センター南地区。駆け抜けるライオネルブラザーズ)
王子ミカル
「兄上ーーー!!また勝手に抜け出して
 ーーーー!」

ライオネル
「別にいいだろ!」

王子ミカル
「そんなわけないでしょう!
 待ちなさ〜い!」

ニーナ
「やれやれ…相変わらずだね……
 あの王様は………」



(城。赤子とたわむれるローズ)
ローズ
「ほ〜ら、ナシェル。
 はいはいして〜」

ナシェル
「ダー」

ローズ
「あなたの名前は、とっても強かった
 勇者の名前なんだからね」
「あなたも、その人に負けないように
 しっかり大きくなるのよ〜」

ナシェル
「ダー!!」



(ラデスの遺跡。王女の墓標の前で)
『……………』
賢者アロン
「………早いものですね」
「もうあなたが逝ってから、
 40年以上たちましたよ」
「私もすっかり年をとりました……。
 もうそろそろ、引退して静かに
 暮らそうかと考えているんです」
「この40年…あなたのために、
 走り続けてきました」
「でも、ようやく、あなたが望んだ
 本当の平和が訪れようと
 しています………」
「ゆっくり眠って下さい………。
 そして…この世界を見守り続けて
 下さい………」



(魔獣の谷を見降ろして)
『…………』
ユディト
「ジークフリード様………」
「多くの獣人の命が失われました……。
 でも…ようやく…あなたの待っていた
 世界が………」
「真に平和な世界が訪れようと
 しています………」
「その時まで………
 ユディトは戦い続けます。
 どうか…見ていて下さい」



(獣人の村、4つの墓標の前)
ビビ

「母さん…」
「父さん……」
「ナシェル兄ちゃん…」
「ティアさん…
 ナシェル兄ちゃんを好きになって
 くれてありがとう……」
「色々あったけど…もう大丈夫だから。
 2人で…仲良くね………」



(センター展望台)
ライオネル
「ナシェル………
 ティア………」
「ビーストオーブを使ってまで……
 蘇らせたかったのか………
 それは…愛と呼べるのか?」

ラシード
「それも、愛の形だ」

ライオネル
「ラシード殿……」

ラシード
「なにも、愛の言葉をささやき、
 触れ合うばかりが愛ではない」
「愛はエゴだ。
 それがエスカレートしただけ」
「誰しもが狂気に犯される可能性を
 秘めている」
「思い出すといい。これまでの戦いを。
 人は獣人を迫害し、
 獣人は人に復讐を誓った」
「始まりは何であっても……
 それはやがて大切なものを守りたい
 という愛につながり、エゴを生む」

ローズ
「その愛が、エゴが、ビーストオーブと
 結びついてしまった……」

ライオネル
「シメオンとの出会い………偶然が
 重なって生まれた悲劇だった」

ラシード
「大事なのは、これからだ」

ライオネル
「……そうですな」

ローズ
「元は、あの2人が造ってくれた
 平和だものね」

ライオネル
「守っていかなくてはな…そうだろ?」

ローズ
「ええ…!」





ナシェル

人間と獣人の仲立ちとなり、

戦いの果てに命を落とした半獣人。



ティア

死んだ恋人のため、

世界全土を震わせた女性。



ライオネル]U世

獣人との戦い、

そしてシメオンとの戦いに尽力した、

セントラルシティの王。



ローズ

元暗殺者。元踊り子という過去を持つ、

セントラルシティ王妃。



ビビ

持ち前の明るさで、

世界に平和を取り戻したナシェルの妹。



エノク

ナシェルに憧れ、

戦士を目指した少年。



フォース

ビビのために命を賭けた、

複雑な過去を持つ吟遊詩人。



ナイトハルト(ユディト)

ジークフリードのために生き、

ジークフリードのために死に、

ジークフリードによって蘇った獣人。



アロン

長きに渡り、

人間と獣人の争いを見守り続けた賢者。



ミカル

ライオネルを陰からサポートする

若き策略家。







『!?』
『ナシェル……』



ナシェル

「ティア…」


ティア

「ナシェル!」


ナシェル

「行こう…ティア……僕たちの世界へ…」



「2人だけの世界へ!」



ティア

「うん…ナシェル……幸せになろうね…

いつまでも…」







かつて、人間と獣人の

壮絶な戦いがあった。


そして、長い迫害の歴史が訪れ、

今やっと

歴史は正常な流れを取り戻した。


その大いなる変革の陰に、

1人のハーフ・ビーストがいたことを

知る者は少ない。


後の世に、

吟遊詩人はこう謡う。


人を獣を結びつけた者、

それは、人でも獣でもなく、

ハーフ・ビースト。


その名は、

ナシェル、と…。


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