大神

カムイ戦隊


天呼ぶ 地呼ぶ 海が呼ぶ
妖怪倒せと人が呼ぶ!

「赤いのに一匹狼、凡人か英雄か凡人か オイナレッド!」
「青いけれどリーダー役、頑固者な村長 オイナブルー!」
「早駆けと仮面の怖さは誰にも負けない オイナイエロー!」
「本体は梟?冷静沈着なチームの知恵袋 オイナホワイト!」
「ちびっ子ながらその潜在能力は未知数 オイナグリーン!」

空と土と海の精霊の名にかけて
ウエペケレの平和は俺たちが守る!

カムイ戦隊
オイナンジャー!!

(ピリカを中心にして両隣にオキクルミとサマイクル
  外側をカイポクとトゥスクルが固める
  背後で爆発、白煙があがる)




「そして司令官はこのワシ……完璧だッペ!」
 村興しの草案を握りしめて、長老は雄叫びこいた。
「これでナカツクニから観光客が押し寄せるに違いないッペ!」
 それでいいのか前村長。
 サマイクルは眩暈をおこしそうになるのを気力でねじ伏せた。
「…長老、これは無理があるのではないかと…。」
「サマイクルの言うとおりですぞ。」
 トゥスクルが同調してくれて、その頼もしさに彼女に頷きかけた。
「語呂が悪いのでせめてオイナファイブにするべきでは?」
「なっ…何を言っているのだトゥスクル、そういう問題ではないだろう!」
「それでは高宮平はクサナギ伍の二番煎じになってしまうッペよ。」
 なにせこっちは半人半獣なのだからクサナギ伍の丸パクリも可能である。
 そこをあえて人型でいくケムシリ爺のオリジナリティ(?)。
 確かに名前の語呂は悪いが、どこぞのアイドルグループをもじってオイップやウエップにしないだけマシだろう。
 いや、問題はそこじゃない。今のままでも十分に二番煎じなのだから。

 ……分かってる。二番煎じ云々の問題ではない。現実逃避も程々にしないと本気で実現してしまう。
 トゥスクルはケムシリ爺側に行ってしまい、思いもよらぬ展開にサマイクルは頭を抱えた。

 他の仲間の反応を見てみると、
「ひどーい!私のお面そんなに怖くなんかないよ!」
 カイポクは心なしか仮面の禍々しさを割り増しして抗議しているし、
「あたしピンクがいいー。」
 ピリカはなぜかワリウネクルを追い回している。
 オキクルミはと言えば、
「リーダーでもなければポーズは中央ですらない…クソッ、赤の存在意義はどうした!」
 これまた見当違いの方へ憤りをぶつけていた。
 揃いも揃って戦隊モノをやることが前提の抗議に聞こえるのは気のせいだと思いたい。

「煙幕は各々の色に合わせたものを打ち上げるべきかと。」
「ええい、それこそどうだってよいであろうが!」
「それはぬかったッペ!さすがトゥスクルだッペ!」
「長老も戯れが過ぎますぞ!」
 何故か乗り気なトゥスクルと俄然やる気のケムシリ爺にせわしなくツッコミをいれる。
 どうして自分しか歯止め役がいないのだと嘆く暇もない。
「ワシは本気だッペ!」
「尚悪い!!」
 この草案はなんとしてでも破棄せねば。自分がしっかりしなければ。
 サマイクルは挫けそうになる自分に言い聞かせた。

 村の方向性を正常に戻すため、サマイクルの気苦労はまだまだ続きそうだった。



2008/04/19

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